Microsoft、NPC の自動生成AIツールをXbox開発キットに組み込むパートナーシップを発表

退屈なサブクエストともおさらば?

Microsoft は 10月6日、AI を用いたゲーム開発ツールを提供する Inworld とパートナーシップを結んだと発表しました。

Inworld は Google のチャットボットツール、Dialogflow の開発者を中心に設立された会社で、AI を用いてゲーム内に登場する NPC の会話や行動などを生成するツールを開発していることで知られています。

Intel Capital や Microsoft 子会社の M12 など複数のベンチャー投資会社より出資を受けており、同社が開発した「AI NPC Engine」は The 15th Unity Awrds の Best Development Tool にノミネートされたり、GTA5 の Mod で利用されたりと、業界から注目されつつあるベンチャー企業です。

今回のパートナーシップは、Microsoft が持つ Azure AI ソリューション と同社の研究機関、Microsoft Research が保有する技術的知見、さらに Xbox が持つ開発者向けツールの制作能力を、Inworld が提供するツールと相互に活用していきたいのが理由だそう。

両社は、利用しやすく責任ある AI ツールキットの開発に協同で取り組んでいく考えを示しており、発表内ではアイデアを入力すると、ゲーム内クエストや会話の内容、スクリプトなどを自動生成してくれる AI デザイン コパイロット や、設定に基づいてクエストやストーリー、会話内容をリアルタイムに自動生成する AI キャラクター ランタイムエンジン の2つのツールが紹介されています。

これらの AI ツールキットを Xbox の開発キットに組み入れることで、Xbox Game Studios や Xbox でゲームを販売したいすべての開発者が、構想や挑戦したいことをより簡単に実現してゲームの限界を押し広げられるよう、お手伝いしていきたいとのことです。

ご存知の通り、ゲーム開発の分野では AI の利活用に積極的となっており、さまざまなツールが提供されています。例えば、オープンワールド型ゲームを多数制作している Ubisoft はシナリオ執筆の手間を省くことを目的に、AI で会話を自動生成させる Ghostwriter というツールを開発しています。また、Nvidia は2023年にプレイヤーがNPCに語りかけると、その内容に応じて会話を自動生成し、実際にNPCに話させられる Avatar Cloud Engine という技術を発表しています。

あまり知られていないかもしれませんが、Xbox を有する Microsoft は長年にわたりゲーム開発の分野に力を入れてきました。ナデラ体制に変わってからも、2015年に多数のゲームで採用実績のある、物理エンジンの開発会社 Havok を買収したのを皮切りに、2018年にはオンラインゲームのマッチメイキングやユーザー情報管理などバックグラウンド構築、運用を支援する PlayFab を、2020年にはAIを用いてゲーム内チャットの自動 BAN などを可能にする Two Hat を買収しております。

さらに、Microsoft Research では レーザースキャンや音声生成 AI といったゲーム内の素材を作成する技術や、バグ発見を AI で効率化させる BugLab といった研究も行われてきました。

ゲーム開発は Microsoft にとって DirectX を提供開始して以来、重要視し続けてきた分野であり、CEO自ら Microsoft の3本柱にゲーミングと開発ツールを挙げていることから、今後もゲーム開発分野への投資を強力に進めていくとみられます。

Xbox and Inworld AI partner to empower game creators with the potential of Generative AI (microsoft.com)

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